太陽の畝

日々亦瀟瀟。

トリストラム・シャンディと酒

酒の失敗を多く繰り返し、居たような居なかったような友人たちも、どこかへ行ってしまった。

しかしそれで良いと最近感じている。

過去の失態はお互い、もう水に流そう。

 

(幼少期から飲み屋を連れまわされ、結句スナックでブルーハーツやモッズの合唱を聴かされるという経験上、私はそういった大人たちにはなりたくなかったのであるが・・・。)

 

学生時分、何処からか友人が訪ねてくると、地獄飲みと称して朝から愛隣地区に集合、途中ポルノ映画館で休憩を挟みながら飲みなおし、朝までやっている難波に流れて昼頃解散、という自堕落な生活を送っていた。

しかしどうして、あのポルノ映画館にはホモしかいなかった・・・・・・痩せぎすの黒いドレスを着た爺・・・・・・真珠の首飾りをぶら下げていると思えばアナルビーズ、斬新な数珠・・・・・・スピード・・・・・・鮭を称する謎のポルノ男優・・・・・・。覚えていない時もある(W/Sバロウズ)。

そして酔うと、よくジュネとセリーヌの話になった。

如何せん私たち全員が無学なので口論や乱闘になるのがオチであった。

そんな友人たちもお互いに音信不通や絶縁を繰り返して、皆どこかへ消えてしまった。

 

終電を逃し、泥酔して賀茂川で眠っていると、真夜中にラジオ体操する短パンの爺にどやされた。そして大木に激突して眼鏡が壊れてしまった。見かねた或るツイッタラーがタクシーで四条の店まで連れて行ってくれた。初対面であったが、無保険を徹底した人物で、インフルエンザも自力で治し、挙句高熱で精巣が壊滅してしまったので子供ができない、という話を暫く聞かされたことだけ覚えている。

精巣が壊滅してしまった彼とも連絡を絶ち、結局付き合いはないが、あの時のことに恩義を感じている。

 

どこか忘れたが、京都の浅川マキ森田童子ばかりが流れる狭いバーで泥酔し、持病の発作が起きて死にそうになった。死にそうになるだけの持病である。死にそうになるだけの持病は現在も持続中である。

 

何年も前のことだが、薄野で数日飲み続けた時は、ゴリゴリのおかまとの出会いで幕を閉じた。

恩人と酒を飲んでいるとIKKO系のおかまが乱入し、尻で割り箸を折るという彼女特有の悪ノリで我々を持て成してくれた。

彼女の口癖は終始「おかまの本気見せてやるよ」であった。

ダーツ~ダーツを我々に投げてくる~我々が激怒する~逆ギレして割り箸を折る~ディープキスをする という一連の謎のムーブによって私たちは意気投合したのだが、飲み屋のツケを溜めすぎた彼女は銀行が開くまで軟禁される事態に陥った。大阪から男を追っかけて札幌のボロアパートに住み着いている彼女は現在どうしているのだろうか?

 

毎度金はしっかり持っていたが、それよりも悪いツケが溜まりすぎ、もう深酒できなくなってしまった。どこかでセーブする、至ってスマートな(?)飲み方が身についている。然しながら精神安定剤抗鬱剤睡眠薬等との併用で以前よりも酩酊は深い。記憶を失うのが速くなった。就寝前の日課の読書も翌朝には何も覚えていない。

 

蛇足ながら、サルトルのジュネ論を久しぶりに読み返してみると、おかまの思い出がいつも蘇える。

そして今日も大真面目に生きた。