太陽の畝

日々亦瀟瀟。

贋共同体

或る後輩が家に居候していた頃、毎日ビートルズを聴いていた。

中学生の私、今はなきWinMXというサイトから毎日違法に音楽やアダルト動画などを拾い集めていた。

その当時にビートルズの全アルバム、ストーンズの全アルバムを拾った。

 

全て手に入れたはいいが、高校以降もビートルズストーンズといったバンドにはあまり触れず、どちらかというとプロコルハルムやCCRといったバンドが好きだった。

 

毎日を無為に過ごし、職もなく金もなく、ただただ後輩が期間工で貯めた金と、私が貯めていた金を削りながら数か月を過ごしていた。

時間はあるがやるべきこともなく(やるべきことなんて本当にあるのか?)、音楽を聴いたり、散歩をしたり、野宿をしたり、聴く気もないのに一日中AmazonでアシッドフォークやフリージャズのCDをポチポチしていた。本当にくだらなかったし、ふざけていたのである。

 

もともとの同居人含め、数人の人たちが私の家で寝起き、煮炊きしていた。

色々なよくないものがごった返していた。

当時読んだジョンケージの回想記では、コミューンはいずれ解体されると記していたが、私たちが解体されるのも時間の問題であった。現に政治の論争をふっかけられて家から追い出してしまった女の子もいた。

そして解体され、回想する立場になってしまった。

 

いつもおかしくなると誰が一番なのか、どのアルバムが最高傑作なのかといったくだらない議論になる。

 

ブルースマンは?

ジョンリーフッカーだ。

いや、ジョンリーよりもロバートロックウッドジュニアだ。

ビートルズは?

SGTだ。

いや、オレはフォーセールだ。

キースかロンウッドか、レノンかマッカートニーかジョージか(何故かリンゴは顔がおもしろいという話しかでなかった)、

ナンバーワンはチャックベリーだ。

ベストスリーには上を向いて歩こうとスタンドバイミーが必ず入る」

 

そういったクソの役にも立たない話を毎日延々と繰り返した。

扇風機のような毎日。

私たちはどう這ってみたところで「サラ金の星」(アベシン)にはなれなかった。

 

先日久しぶりにビートルズを聴く機会があり、A DAY IN THE LIFEを聴いた。

ビートルズの歌詞なんか未だに読んだこともないが、何故かあの当時、おかしくなって真夜中の河原でコカ・コーラをかけ合い、ボックスを踏んでいたことを思い出した。

 

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